鳥になる

貴重な平日休み。
唯一続けている声のレッスンに行く。横たわって、呼吸をして、すべてのことから自分を解放する瞬間。魔女みたいな師匠もすごく好き。自分に合うものに出逢うのもご縁だし、長く探したかいがあった。レッスンで、からだをイメージの中で半分こに切って、気を通していったりする。そうしてとらわれから自由になっていく。今日は「鳥になりましょう。肋骨のなかに息をたくさん入れて。羽がはえて。息を吐くときに声を出して」というので、ふだん使わないような声を出す。
お経のような、呪文のような、動物のような、雨だれのような、性の悦びのような、哀しみのような、いろんな声。
声だししているうちにちょっと元気になる自分を感じてうれしかった。鳥になりたい。風の中で。

でも、レッスンが終わってから、町に出て、スタバに入って、この店が最後に会った場所になってしまったと思ったら、ちょっと暗くなってしまった。12月の初め、公園で大いちょうの黄色い葉っぱがはらはらはらはらと散るのを見た日だった。あなたは「ハイビジョン映像を見ているようだね」と言ったっけ。
その日に書いた日記より。

晩秋はらはら

都立図書館の大きな窓から
大イチョウの葉がはらはらと
散っていくのを見ていた
黄色い無声映画をいっしょに
ただはらはらと見ていた

あなたとのあいだにある
この距離を
埋められるなんて思わない
でもときどき
縮められたらと思う
いやならまた
伸ばせばいいさあ

「今日は力が出ないなあ」
というけど
出なくてもうだうだと
いっしょにいられたらいいのに
と
別れてから思った
あたし　
ほんとうに
あなたにはらはらしている

★メンテナンスのために、これからエステに出かけます。