昨夜はイベントの後、友だちと待ち合わせて、T川沿いの公園で散りゆく桜を見る。夜風にはらはらと舞う花びらがまた風情があった。屋台のおでんと大阪焼きを食べ、ワンカップ菊姫を飲んでいた。石川県の美酒なり。
それから、遅咲きの桜をめでつつ、大きな川にかかる橋をわたる。昨夏、何度となくけだるい空気の中で、好きな人とこの橋を渡った。少し行ったところに何度か入ったシンプルなラブホがあり、下町ふうの商店街があり、おいしいラーメン屋があり、レトロな飲み屋がある。ちゃぶ台をたくさんしつらえた、安くて料理のおいしい飲み屋に連れて行くと、友人はこの辺が地元なので「どうしてあなたのほうがいろいろ知っているの?」と感心していたけれども。
思ったよりたくさん飲んでしまった。

この店に入ったのは初夏のことだった。カツオのたたきが美味しかった。一日歩き回って、「今日は小旅行だったね。楽しかった」とその人は言った。私の記憶の中でも、いくつかの光り輝く日のうちの一日だった。
友人といっしょならだいじょうぶかな、と思って、試す気もあって、最後の花見に今日このコースを選んだ。
でもだいじょぶじゃなかったよ。橋をわたるのは苦しかった。夏の光がふいに思い出された。あの熱風のように暑い日。最後にわたった夏の終わり。あれは9月の土曜日のことだった。

友と別れて、乗った電車の中で、私は泣いた。声を立てずに泣いた。涙が桜散るようにはらはらと、熱く冷たくほおに散った。

一歩前進してまたさがって。カタツムリのように生きている。それでもいいさあ。ただ生きている。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索