暮れバス

2007年3月21日 恋愛
「時間に割れ目があったらな」とつぶやいた深夜
「タイム・クレバス」とそのひとはいった
クレバスは深い裂け目、欠落
なのにバスタブのお湯のような
乗りこんだ夕暮れのバスのような

わたしたちは海沿いを揺られている
夕日が落ちていく
バスにはたくさんの人が乗っているような
ふたりしかいないような
わたしたちも透明人間のような

どこまでいっしょにいけるだろう
わたしの旅の終点と
そのひとの旅の終点が
同じということはありえない
同じにしようと人は心中するのだろうか

そのひとのたましいと
わたしのたましいが
線香花火のたまがふたつくっついたみたいに
ぱちぱち音をたてている
夕暮れのバスの中で

2007年3月21日

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