カーテンの中で

終業後、Y子と1杯だけ飲む。いろいろ相談事あったようだけど「ごめんね。こんな事態なんで今日はお見舞いに・・・」という。「センパイ、なんでそんなに波乱万丈なんでしょ」といわれる。ほかの人には言えないけど、彼女だけ。

地下鉄を降りて足早に歩く。途中でメール来る。その人から。「一般病室に移りました」「あと1分で行くよぉ」「えっ、どこ？」
うふふ。そんな頃だと思いました。トイレで化粧直して、チエック入れる。紺のTシャツに、白地に紺の花柄のなぜか今日はロングスカート。おニューの白いサンダルのようなパンプスのようなもの、はいている。いまいちな格好ではあるが、ま、いいやー。
エレベーターに乗ります。ドキドキします。
病室はいちばんはずれの部屋でした。ネームプレート発見。
でも、カーテンが引かれている。立ちどまっていると「やよ坊さん？」とそのひとの声。あーーー。
カーテンをくぐって、ニッコリ。どんなに逢いたかったでしょう。積もる話をする。けれども、4人部屋なので、面会時間も終わる頃、ちょっと気がね。でも、ゆっくりしてしまう。
話したり、見つめたり、手を握ったり、管がついてるとこ見せてもらったり。途中、看護士さんが来て、「血圧低いですね」と。
たばこはもう吸わないように、お酒はぼちぼちで、食事に制限があって。
でも「今度こんなことしたいねぇ」というので、「そうじゃなくて。もっと忙しくないようにリセットしないと。カラダをいたわれるように」とぶつぶつ文句言う。
差し入れの雑誌と、手紙を渡します。
「エレベーターまで送っていくよ」という。カーテンの中で静かにくっついてみる。音を立てないようにキスする。
そして手を握って別れた。
今頃、絵手紙を読んだかな。