木々のすきまから
風薫る五月の午後。
生きててよかったよー、と思える。
M公園からY公園へゆっくり歩く。そのひとと。
古くて大きな木が、あたしは好きだ。うっそうと新緑の葉をたたえている。草いきれ。M公園には野良猫がいっぱい。そのひとが猫に話しかける。かんビールを飲んで、葛餅を食べる。なんて取り合わせ!
Y公園で芝生に寝転んでいたら日が傾いてきて、薄着なので寒くなる。商店街に降りて、そのひとが高校生のときからあるという古い中華料理店に入る。たけのこそばを一つ頼んで、二人で食べた。「細い麺が名物なんだよ」というとおり、あっさりしておいしい。寒いので老酒をおかんしてもらう。突き出しのシウマイがおいしいったら。
べつにとくにイベントがなくても、なんでもなく、なんともなく、いっしょにいるのがうれしいと思う。

最近できたギャラリーの看板を見つけて入ってみる。写真展だった。オーナーの人と、写真家の人といろいろ話して、楽しかった。そのひとは名刺を出した。受付で記名もした。あたしは、書かなかった。狭い世界だから。

駅で電車に乗ればいいのに、名残惜しいので「もう1駅」と歩く。なにも話さずに。そのひとは疲れたようだった。後悔した。
こんなとき、木々のすきまから小部屋が現れて、コーヒーなんか出てくるといいのにな。そしてすっとだれもいなくなる。そんな空間があればいいのにな。。。

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