もてあます

なにもかもが意味のないことのような気がする。
その人のことを思うと、どうしようもない気持ちになる。
話しているのも、ただそばにいるのも、べたべたひっついているのも、どれもこれも好きなのだけれども、

かつてその人とそうしていた人のこともなんとなくわかる。会ったことはないのだけれども、彼女の作品はあたしの感覚とひどくマッチするものであったので、「この人は?」と聞いて「元彼女」といわれたとき「ああ、そうよね」といった。
「わかるの?」「だって、感覚がとても似ているので」。
それは親密になった晩だった。

その人を独占したいなどとは到底思わない。
そんなことをしたら、どこかへ旅に出てしまうだろう。
だけれども、何も確かなものなんかないのだということが
あたりまえなのにこたえる。
若かったその人をかつて愛した女性のアーティストに、あたしは嫉妬する。でも、会えば気が合うだろうことはわかっている。いつか彼女に逢いたい。作品をちゃんと見てみたい。

どうしようもない自分をもてあます。
カラダの半分にその人を入れて、あたしは限りなく、ずれていく。苦しいです。