うつす

2007年8月25日 恋愛
うつすのは、自分のイメージの鏡にうつるもの、なんだと思う。
その人のそばにいて、なにをうつすのか、みていた。

苔むした樹木の表皮、長い間に削られて変色した民家の板塀の木目、木漏れ日が影絵のように写った白い壁、100年もたった民家を使った居酒屋のお便所のなかのもようのついたガラス、その店の丸く大きな飾り窓、など。
その人がうつそうとする美しいものを、うつすその人を、飽かずに見ていた。

並列される被写体のわたしもまた、風雨に削られて変わり果て、なんらかの役にもたたず、ただその人によって刻印される生き物であるようだ。
でも、生き物は樹木のようにただいのちをたたえて静かに立っていることが出来ず、ほんとうにこぼれるうれしさを隠せないような表情を、けっしてほかではなしえないような表情を見せてしまったりするのである。

生き物は、ビョウキになりやすいのが難点だ。
でも、大きな木だってビョウキになるのだから、それはもうしかたのないことであろう。

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